top of page
キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカ

キミノーカの増築

和歌山県は紀美野町という山間部の場所にある、ジェラテリアの増築計画である。
人口凡そ8000人強の限界集落である紀美野町に、約9年前に建てられたジェラテリアのキミノーカは農家であり、その作物を用いてジェラートの製造販売を行っていた。

近隣はほぼ山林と川、少しの店舗と住宅とその農地であり、牧歌的な空気がある。
その山の中にぽつんと約10坪ほどのサイズで建つジェラテリアに客が押し寄せていた。


ジェラテリア・キミノーカへのヒアリングにより浮き出てきたものは、現機能の拡張はもちろんのこと、共有ラボ機能、OEM機能、兼業的な働き方の受け皿をしてあげたい、という他者と居場所の共有とその相互性だった。
計画にあたり、共有する居場所の設置とその拡幅をすること、共生者になるきっかけと成長、その巣立ちを支援する形を、母屋を残したまま増築するという形で模索した。

現況あった10坪ほどの木造建築物は保全されており、再訪率やTV取材量、SNSのリサーチから来訪者の記憶が9年間蓄積されアイコニック化した建築であったため、前面に露出した状況に置いたまま増築部分はセットバックして囲い込む平面配置とした。
増築前では客の居場所も少なかったため、佇める場所や牧歌的な空間体験を行えるように前面には大きなデッキ、ルーフトップは全面屋上緑化とし、屋根に上がれるようにした。
全面屋上緑化は土の断熱性と植栽の蒸散と蓄熱から熱量を計算し、エネルギー低減に寄与している。この物件は山奥で雪も積もるが、屋根面に断熱材は不使用である。
2Fの個室は宿泊や会議、ルーフをイベント使用できるスペースとした。屋上緑化の屋根庭に面している。
内部空間は、ジェラテリア以外に最大3店舗出店できる販売スペースを設置し、ジェラテリアを含む4店舗を背面側に長いキッチン空間を置いて全体を繋ぐプランとした。


キミノーカでは年間4万人強の集客力があったため、収益担保がある程度確保されていることと、OEMや調理の共有、レシピの補助や研究を受け止められる機材を増築によって持ったことも共有化に繋がっている。
その状況に於いて、希望者が身一つでやって来てもこの場にて事業を展開できる状況をハードに写しとった。

1つの機能が山奥で始まり、その機能を基点に事業の成長と可能性の拡大に伴った空間性や機能性の反映と拡充を、必要機能分やその成長と比例した「増築」という元始的な膨らみとしてシークエンス化した建築となった。
山の中で1つの木から混生し合い、また新たな林や森となるよう願っている。

 

■建築概要
題名 : キミノーカ
設計:尾形良樹+SALT
担当:尾形良樹 藤原唯
家具:永田幹+iei studio

植栽:助太刀 武広  花一春園 西畠
所在地:和歌山県海草郡紀美野町三尾川
主用途:工房
施工:赤土建設
施工担当:赤土友佳子 加治佐
階数:2階建て
床面積:185m2
構造:木造
竣工:2022年7月31日
写真:太田拓実

bottom of page