Photo by Takumi Ota
green by
設計事務所SALT経営のレストランgreenby。
和歌山市の中心部に位置し、20数年前に活性していたエリアであり、近年は衰退してしまった場所に店舗を構えることとした。
普段、クライアントの店舗を設計している身として、店舗を自社で持つことは現場ノウハウの蓄積と、街への波及性とはどういうものか、という部分へのチャレンジでもあった。
周辺リサーチを進めていく中で、前述の衰退したという見解は表面的で、内部状況的には素敵な店舗が碁盤上70mおき程度にぱらぱらと15店舗ほど点在するエリアだった。
表面的に衰退感が出ているように感じたのは碁盤への導入が無かったことで、飲食が点在していることを知る人が少ないという物理的な認知性の低さに感じた。
築40-50年のこのビルの1階にはもともと35年ほど愛されていたビルオーナーの喫茶店があった。
高齢で閉じてしまってから3年ほどが経過しており、そこをリノベーションすることとなった。
まず、ファサードの窓は全て観音開きの窓に置き換え、飲食店内部の風景を見えるようにした。日差しが厳しいところではあるが、賑わいを風景化する目的とした。
外部ライティングは二色使いにし、奥の道路への進入性を鑑みてライティングを折って行燈的な効果とした。「あの角地の光ってるお店を曲がって奥にいった○○という店に集合ね」という会話を狙い、エリア活性を目論む。
内装は収益効率的に大テーブルの設置と、子連れの入店ハードルを下げるためにベンチシートを設置した。
キッチンはライブキッチンとして全面デシャップにし、面積効率と提供効率を上げた。
重飲食のキッチンながら面積比率は全体の26%程度に留まり、席の面積効率を上げた。
大きな分節がない1空間で料理をし、みんなが食事をし、街に風景としてにじみ漏れる。
分節をなくしたできうる限りの最大ボリュームを外に向けて押し出すこと、街の誘導線を作ること
これは街に賑わいを生み、その結果として弊店へ来るマスの増加を狙った設計としている。