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Photo by Takumi Ota
​高野山の庫裏

和歌山県・高野山奥之院のほど近く。

弘法大師空海が修行の地として選んだこの地は、宗教的精神性と同時に、建築にとって極めて苛烈な環境条件を内包している。

厳冬期には一昼夜で最大20℃近い寒暖差が生じ、急激な温度変化によるムペンバ効果的な凍結が発生する。

高野山の暮らしは精神性だけでなく、環境への適応そのものが修行でもある。

本計画は若い僧侶とその家族のための住宅であり、寺院建築における「庫裡」と「伽藍」という概念を本計画に写し取る試みである。

 

外観は、高野山の景観と宗教的背景に配慮し、過度な装飾性を排した。建築の輪郭は極めてプレーンな矩形とし、道路側には窓を極力設けないことで外界との距離を保っている。

矩形は短手を5.4m、長手を14.5mとし、長手の14.5mは5.2m、5.7m、3.6mと3つのブロックに分けた。

平面は短辺5.4m、長辺14.5mの矩形を基本とし、長手方向を5.2m、5.7m、3.6mの三つのブロックに分節した構成とした。

中央のブロックのみを吹抜けをもつ単層空間とし、両端のブロックはそれぞれ1.5層、2層のスキップフロアとすることで、限られたボリュームの中に多様な居場所を内包している。

 

玄関に近い1.5層のブロックには、寝室、書斎、ウォークインクローゼット、トイレを集約し、上部はロフトとして利用する。

一方、奥側の2層ブロックは、下階を1.5m地中に埋設した半地下構成とし、浴室、脱衣室、書斎、ライブラリーを配置した。

水回りを地中に近づけることで、地表の急激な温度変化の影響を抑え、地熱を利用した安定した温熱環境を確保している。

これはムペンバ効果的な急激な凍結への応答である。

中央の吹抜け空間は、天井高最大4.2mのリビング・ダイニング・キッチンであり、本住宅の精神的・空間的中心となる。

 

「がらんどう」という言葉は空虚さを意味するが、本計画が目指したのは仏教的な意味での「伽藍洞」である。

空でありながら中心を持つ空間。庫裡=厨房を核に据え、生活と修行、家族と宗教性が緩やかに重なり合う場とした。

本計画は、寺院建築における「庫裡」および「伽藍」という伝統的概念を参照しつつ、現代の生活様式および厳寒環境に適応した住宅形式を目的とする。

​■建築概要

題名:高野山の庫裏

設計:尾形良樹+SALT

担当:尾形良樹,藤原唯

什器:永田幹 iei studio

所在地:和歌山県伊都郡高野町

主用途:住宅

施工:かじさ建築店

構造:木造

階数:地上2階

竣工日:2025年12月

​写真:太田拓実

​■General Information

Title:The Kuri of Koyasan

Design:Ogata Yoshiki+SALT

PIC:Yoshiki Ogata,Yui Fujiwara

Furniture:Kan Nagata from iei studio https://ieeei.jp/

Location:Koya Town, Ito-gun, Wakayama, Japan

Principle Use:House

Construction:Kajisa​ Corp. https://k-kajisa.com/

Structure:Timber

Number of Stories:2F

Completion:December, 2025

Photo:Takumi Ota

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